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リレーエッセイ Vol.20 藤井大輔さん

弊社では、新入社員の面接を一般社員がお手伝いするという慣習があり、私もキラキラな目をした学生さんから、「藤井さんにとっての仕事とは何ですか?」といった、このエッセイと同種の質問を受けることがあります。 そんなときは、「仕事はできればしたくない。でも仕事をしないと生きていけない。どうせしなくちゃ駄目なことなら、できるだけ楽しくワクワクできることをしたいでしょ?」なんて話をしています。

「楽しく、ワクワク。」という仕事のスタンスは、新人の頃から変わらず自分のなかにあったように思いますが、最初は、「自分自身にとっての楽しい、ワクワク」ばかりでした。雑誌に自分の名前が出た! 自分が書いた音楽コラムの支持率が良かった! あの憧れのアーティストに取材ができた! などなど。それらは、編集という職種の醍醐味ですし、過去の自分を否定する気はありませんが、いつの頃からか、それだけではもの足りなく感じるようになりました。

最近は、「その人が本当は知りたい・欲しい、と思っているのに、本人は気づいていない」ことを発見するのが楽しいですね。『R25』の記事のなかでも支持率が高くなるのは、上記のような発見がうまくいったときです。そのためには、頭のなかでいろんな視点をバランス良く保つ必要があるのですが、これがなかなか難しいんですよ…。この姿勢を続けていくと、「世の中が本当は知りたい欲しい、と思っているのに、世の中は気づいていない」というところまでたどり着けるのでは? なんて夢想しています。

知っていると知らないの間にある“あいまいな状態”に対して、「知ったかぶりをしない視点」と「遊び心を忘れない精神」で切り込んでいく…、『R25』で培ってきた編集のあり方は、今後の自分の仕事においてはもちろん、人生においても基本となっていくでしょう。さらなる「楽しく、ワクワク。」できる仕事に巡り逢えるよう、日々精進ですね。

仕事にまつわる10問アンケート

  1. 今の仕事が好きですか?

    はい。新しいチャレンジを期待され続けるのは大変ですが、元来怠けものなので、それくらいがちょうどよさそうです(笑)。

  2. 一生困らないほどのお金が手に入ったら、仕事以外にやりたいことは?

    F1グランプリを全戦パドックで観戦したいですね。

  3. 仕事で、"鳥肌が立つほど感動した"ことがありますか?
    それはどんなときですか?

    『R25』を創刊したときに、一番大きな相鉄線横浜駅のラックをこっそりのぞきに行ったのですが、2秒に1冊のペースで本が抜き取られていく光景を見て、それはそれは感動しました。

  4. 仕事より大切なものは?

    子供ですかね。

  5. 子供の頃になりたかった職業は?

    新聞記者だったような…。

  6. あなたの子供に、仕事のためにどのようなことを身につけさせたいですか?
    (※子供をお持ちでない方は、いると仮定してお答え願います)

    周りの人々に感謝する力。

  7. あなたの仕事にとってコンピュータとは?

    道具。あんまり使いこなせてないですが…(苦笑)。

  8. 仕事で成功するために、もっとも大切なことは?

    「総論」(例:経営)と「各論」(例:現場)を、線でバランス良く結ぶこと。

  9. いま、1時間だけ自由な時間があったら、何をしたいですか?

    『iPod』を聞きながら、商店街を散歩します。

  10. 最近読んだ本で、仕事に役立ったのは?

    『身体を通して時代を読む-武術的立場』
    [甲野善紀、内田樹著/バジリコ]

株式会社リクルート
フリーマガジン『R25』『L25』編集長 藤井大輔(ふじい・だいすけ)

【Profile】

1973年富山県生まれ。
大阪大学経済学部卒。大学時代はアルペンスキー部とバンドに明け暮れた日々。
95年リクルート入社。『ゼクシィ』『エイビーロード』『ダヴィンチ』『住宅情報』『都心に住む』などの編集を経て2005年から現職。
座右の銘は「偶然は必然」。

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