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リレーエッセイ Vol.88 酒井 穣さん:あるいは物語の部分として

ある暑い夏の日、セミの声をうるさく感じながら、ハンカチで額の汗をぬぐい、信号が青になるのを待っていたときのことです。ふと、道路の反対側に目を向けると、そこには数人のリクルートスーツ姿の就活生たちが、緊張した面持ちで立っていました。「暑いのに、上着まで着て、大変だな…」なんて思っていたら、初老の男性が彼らに近づいていき、彼らに何かを話しはじめました。

私は道路の反対側にいましたから、この話の内容は聞き取れなかったのですが、直後に就活生たちは、スーツの上着を脱いで、ネクタイを外しはじめたのです。そこで信号が青に変わり、私は、すっかりリラックスした笑顔によって若々しさが強調された彼らとすれ違うことになりました。

私にとって、仕事とは何か。それを正しく伝えることはとても難しいのですが、少なくとも生きるための生活の糧を得る、ということ以上の意味があるでしょう。仕事とは、おそらく舞台の設備みたいなものであり、私たちはそこで、人間としての“喜怒哀楽”を演じているのだと思います。舞台の設備がないと、そもそも物語を進めることができません。しかしそれは、人生という物語を構成するための要素の1つであり、決して主役ではないという認識も、やはり大切だと思うのです。

仕事にまつわる10問アンケート

  1. 今の仕事が好きですか?

    もちろん!

  2. 一生困らないほどのお金が手に入ったら、仕事以外にやりたいことは?

    世界の遺跡めぐり

  3. 仕事で、“鳥肌が立つほど感動した”ことがありますか?
    それはどんなときですか?

    自分の関わった商材が市場に受け入れられたとき

  4. 仕事より大切なものは?

    人間の社会

  5. 子供の頃になりたかった職業は?

    生物学者

  6. あなたの子供に仕事のためにどのようなことを身につけさせたいですか?
    (※子供をお持ちでない方は、いると仮定してお答え願います)

    個人的にコミットし、それをやり遂げる力

  7. あなたの仕事にとってコンピュータとは?

    自分の能力に大きなレバレッジをかけてくれる魔法

  8. 仕事で成功するために、もっとも大切なことは?

    社内外に信頼のネットワークを築くこと

  9. いま、1時間だけ自由な時間があったら何をしたいですか?

    本を読みたい

  10. 最近読んだ本で、仕事に役立ったのは?

    『職場が生きる人が育つ「経験学習」入門』 [松尾睦 著/ダイヤモンド社]

【2012年8月インタビュー】

フリービット株式会社 取締役(人事担当 / 長期戦略リサーチ担当)
特定非営利活動法人NPOカタリバ 理事
沖縄県キャリア形成支援プログラム協議会員
酒井 穣(さかい・じょう)

【Profile】

1972年、東京生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。オランダのTilburg 大学 TiasNimbas ビジネス・スクール経営学修士号(MBA)首席(The Best Student Award)取得。同 TiasNimbas ビジネス・スクール の25周年記念においては、スクールの発展に寄与した25人の VIP のなかの1人に選出されている。主な著書は、『はじめての課長の教科書』、『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』、『君を成長させる言葉』など。

【著書】
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