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リレーエッセイ Vol.33 荻上直子さん

子供の頃からの妄想癖を、存分に生かすことができるこの仕事。
これほどまで自分にあった仕事に、よくたどり着くことができたな、と思っています。

つい最近まで、親のすねをかじりまくっていました。27歳まで学生。アメリカから帰国してからの数年は、もうどうしていいかわからなかった。大学時代の友人は皆、しっかり就職してちゃんとお金を稼いで、結婚もして、安定に向かっている一方で、私は、金なし、仕事なし、彼氏なし、状態。不安で不安で仕方なかったけど、“自分にはこれしかない”と信じて、ただひたすら映画作りにこだわりました。
あるとき、「ここまできたら、自主映画でもなんでもずっと映画を作っていこう」と決心したら、すぅっと、もやもやが晴れました。だから、継続は力なり、だと思います。

30歳でデビュー。とても嬉しかったけど、相変わらずの貧困状態。でも、映画を作っていられるだけでよかったのです。その気持ちは、今も変わってないと思います。たぶん…。
しかし、綺麗事だけじゃすまされない。「映画を作りたい」という気持ちだけではなく、たくさんのお客さんに見てもらうんだ、そして私はこれを仕事にしているんだ、というプロフェッショナル意識は持っているつもりです。たぶん…。
お金を稼ぐことが目的なら、もっとちがう映画を作っているはず。仕事は仕事だけど、それだけでは割り切れない、魂を売るくらいなら死んだほうがまし。
私は私の映画を作らないといけない、といつも思っています。

仕事にまつわる10問アンケート

  1. 今の仕事が好きですか?

    好きじゃなきゃやってられない。

  2. 一生困らないほどのお金が手に入ったら、仕事以外にやりたいことは?

    フィンランドに住みたい。

  3. 仕事で、"鳥肌が立つほど感動した"ことがありますか?
    それはどんなときですか?

    舞台挨拶で、映画を見た後のお客さんが喜んでくれているとき。

  4. 仕事より大切なものは?

    猫。猫。猫。酒。酒。酒。

  5. 子供の頃になりたかった職業は?

    「タカラ」に就職、「こえだちゃんと木のおうち」シリーズを開発。

  6. あなたの子供に、仕事のためにどのようなことを身につけさせたいですか?
    (※子供をお持ちでない方は、いると仮定してお答え願います)

    世界規模で物事を見る目。

  7. あなたの仕事にとってコンピュータとは?

    なくては無理。

  8. 仕事で成功するために、もっとも大切なことは?

    継続。

  9. いま、1時間だけ自由な時間があったら、何をしたいですか?

    猫のにおいをかぐ。たっぷり1時間。

  10. 最近読んだ本で、仕事に役立ったのは?

    『ことわざ辞典』

映画監督 荻上直子(おぎがみ・なおこ)

【Profile】

1972年千葉県生まれ。千葉大学卒業後、1994年に渡米。南カリフォルニア大学大学院映画学科で映画製作を学び、2000年に帰国。
2001年、自主製作映画の『星ノくん・夢ノくん』が、ぴあフィルム・フェスティバルで音楽賞を受賞。2003年、長編劇場デビュー作の『バーバー吉野』が、ベルリン映画祭児童映画部門特別賞を受賞。その他の主な作品として、『恋は五・七・五!』(2004年)、『かもめ食堂』(2006年)、『めがね』(2007年)。

【作品】
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