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リレーエッセイ Vol.87 工藤 啓さん:社会投資という働き方

米国留学中に出会った「社会投資/ソーシャルインベストメント」という言葉が、私の人生を変えました。自らの時間や努力を、社会が抱える課題の解決のために使うことで、“社会が良くなる”というリターンを得ることができる。そのような人生の使い方、働き方がこの世の中に存在することに衝撃を受けました。

私は、ひきこもりやニート状態、更生保護が必要な若者、生活保護受給者、同様の家庭に生まれ育った子どもたちといった、社会が放置しがちな若者の自立を支援することを仕事にする道を選択しました。

一人ひとりは想像もできない困難を背負いながら生きている。しかし、それらを丁寧に解決していくことで、地域の支え手、社会の担い手を増やしていき、少しでも彼ら・彼女らの人生に関わり、日本社会にも貢献できるよう、日々、活動しています。

設立当時は協力者を募ることが大変難しかったのですが、若者が抱える諸問題に気づきはじめた頃から、政府や行政のみならず、多くの企業がそれぞれのリソースを提供してくださるようになりました。地元の商店街から上場企業、外資系企業まで本当に多くのステークホルダーに支えられています。

サービス受益者とサービスコストの担い手が必ずしも一致しない分野であるからこそ、これからも多くの方々に若者の問題を理解していただき、共に日本社会を前進させるべく協力して活動を続けていきたいと考えています。

仕事にまつわる10問アンケート

  1. 今の仕事が好きですか?

    はい、好きです。

  2. 一生困らないほどのお金が手に入ったら、仕事以外にやりたいことは?

    「カセギ」を考えず、「ツトメ」としての仕事に邁進したいです。

  3. 仕事で、“鳥肌が立つほど感動した”ことがありますか?
    それはどんなときですか?

    はい。自らの言葉が、国の制度や政策に影響を与えたときです。

  4. 仕事より大切なものは?

    仕事を何かと比較したりすることはありません。

  5. 子供の頃になりたかった職業は?

    小学校時代は、「マラドーナ」(仕事ではないですが)、中学校時代は「総理大臣」、高校時代は「新聞記者」です。

  6. あなたの子供に仕事のためにどのようなことを身につけさせたいですか?
    (※子供をお持ちでない方は、いると仮定してお答え願います)

    仕事は人生の目的ではなく手段であると考えているので、「仕事のために」何かを身につけさせたいということはありません。

  7. あなたの仕事にとってコンピュータとは?

    成し遂げたいことのための手段の一つです。

  8. 仕事で成功するために、もっとも大切なことは?

    成功したことがないのでわかりません…。

  9. いま、1時間だけ自由な時間があったら何をしたいですか?

    そのとき1時間分必要だと思うことをしたいです。

  10. 最近読んだ本で、仕事に役立ったのは?

    『羊の宇宙』 [夢枕獏 著/講談社]

【2012年7月インタビュー】

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット
理事長 
工藤 啓(くどう・けい)

【Profile】

1977年東京生まれ。1998年、成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科中退後、渡米。2001年、米国ベルビューコミュニティーカレッジ卒業。同年、青少年就労支援NPO「育て上げ」ネット設立。2004年、特定非営利活動法人化。2011年、 明治大学公共経営学部特別招聘教授就任。現在、NPO法人「育て上げ」ネットの理事長として若年者就労支援に携わる。 その他、内閣府「パーソナル・サポート・サービス検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員、横浜市「横浜市子ども・若者支援協議会若者自立支援部会」委員等、多数の委員を務めている。 2007年、内閣総理大臣「再チャレンジ支援功労者表彰」受賞、2009年、経済産業省「ソーシャルビジネス55 選」選出、2011年、日経ビジネス「次代を創る100人」選出。

【著書】
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