自宅時間活用としての学び欲の高まり ~コロナ禍における「自宅学習」のユーザー動向を聞く

「生涯学習」をテーマに、仕事に役立つ資格をはじめ、日々の暮らしに活かせる実用スキルから趣味系に至るまで、約130の通信講座を展開する株式会社ユーキャン。コロナ禍によって人々が自宅で過ごす時間が増えるなかでの、“学び”に対するユーザー動向や意識の変化について、同社のメディアマーケティング部 山本裕美さんにお聞きしました。

ゲスト
株式会社ユーキャン メディアマーケティング部 山本 裕美さん
インタビュアー
株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ 横溝 萩乃

実用的な資格講座の需要が増加。
自宅での時間活用に、多くの方が “新たな学び” を選択

世間では、コロナ禍によって増えた自宅時間を「学び」に使う人が増えたそうですが、御社の場合はいかがでしたか?

当社も、趣味・実用を問わずさまざまな講座で全体的に受講者数が増えました。そのなかでも実用的な資格系講座に対するニーズがより高まっている傾向が見られ、ことに、医療関連の資格講座(医療機関や調剤薬局で事務を担当する医療事務や調剤薬局事務)やドラッグストア等で医薬品の販売を担当する登録販売者の資格講座、そして、ビジネス系の資格講座(宅建士や行政書士、簿記など)やパソコンスキル(MOSなど)の講座を利用される方が増えました。

MOS講座の利用者も昨年に対して1.5倍程度になっていて、20代前後を中心とした利用者の方の数が大きく伸びているのが特徴的です。これは、一つの可能性として、通学やアルバイト等が制限された状況下で、自分の時間や一人で過ごす時間が相対的に増えたことが考えられます。また、コロナ禍で、ことのほかクローズアップされているのが経済・雇用、就職活動の問題ですので、今後の不透明な将来に向けて、“何か一つでも、役立つスキルや資格を手にしておきたい”という理由も大きいのではないかと思います。20代前後というのは、まさに人生これからという世代ですし、今後の自分の仕事や将来がどうなっていくのかという意識・関心が非常に強く、切実な思いをもたれていると思います。

もちろん、そのほかの年代の方も、在宅勤務や外出制限等で自宅にとどまる時間が以前より増えたことや、今後の不透明な仕事状況や収入への備えといった理由、また、より質の高い時間を過ごすために自己研鑽やスキルアップ目的で学習をはじめる方も多いのではないかと推察しています。

受講者数増や状況変化に対して、何か特別なマーケティング施策や緊急の対応策を採られたのですか?

コロナ中は、急増する講座申込みと会社からの出社制限への対応に精一杯でしたので、新たなプロモーション等の施策は行っていません。ただ、昨年から予定されていた一部講座での割引キャンペーンは中止せずに計画通り実施しました。
もともとこれは、「ユーキャンの講座をもっと多くの方に体験していただき、ファンになって欲しい!」との思いで企画したキャンペーンですが、スタートのタイミングが、コロナ患者増加の時期に重なるかたちになったこともあり、とても大きな反響を頂戴しました。あの頃は、在宅勤務や外出制限等で、出かけられない、やりたいことができない、という方が非常に多かったと思います。そんななかで、「自分の時間を、せっかくなら有効に使えないか」「いまだからこそ、やれることはないか」と、多くの方が“新たな学び”を選択肢としてお考えになった結果が、講座の利用者増加に表れたと思います。ユーキャンの講座が、一人でも多くの方の助けや何かのきっかけになってくれていたとしたらとても嬉しいです。

自宅学習を進めていくうえでの障害の一つは、
「つまずいたところで学習が止まってしまう」こと。

”自宅で学習できる”というのも、今回の受講者増に寄与したと思いますが、
「通信講座」を利用して学ぶ利点をお聞かせください。

受講申込後に届くテキストやDVDなどの学習教材

通信講座の利点は、やはり「いつでもどこでも学べる」こと。“通信”という前提を踏まえて開発された教材やカリキュラムで、ご自宅などで好きな時に学習できる点が大きなメリットだと考えています。

もちろん、スクールや通学には“対面”というかたちを活かした独自のメリットがありますし、学習方法としては馴染みも深いですから安心感があると思います。一方、お仕事や家事・育児などで忙しい方は、まとまった時間や決まった時間をなかなか確保できないこともありますし、「教室に一人で出向いて講義についていけるのか心配・・・」などといったさまざまな理由から、学習をはじめること自体を迷われるケースが多いということも現実にはあるかと思います。

通信講座は、ご自身の生活ペースにあわせ、いろいろな場所でマイペースに学習を進められますから、普段の生活のなかで限られた時間を上手に活用することができます。さらに当社では、ご自身でできる限り不自由なく学習を進めていただくことを前提にした、やさしく進められるよう考え抜かれた、わかりやすい教材・カリキュラムをご提供しています。自分のペースで在宅時間を活用して何かを学びたいとお考えの方には、とても合理的で便利、かつ強力な学習ツールが「通信講座」というかたちだと思います。

誘惑の多い「自宅学習」の学びを、継続/強化していくための御社ならではの
メソッドや支援サービスなどはありますか?

日常生活に誘惑はつきものですし、そこに時間をとられることも自然なことです。だからこそ当社では、限られた短い時間でも使っていただける教材や指導サービスを目指しています。

まず大前提として、効果的で効率の良い自宅での学びには、良質な教材が必要だと考えています。そのためユーキャンでは、豊富な指導経験や講座づくりのエッセンスを注ぎ込んで、紙のテキストからDVD等の副教材に至るまで、「徹底的な見やすさ・わかりやすさ」を追求した教材開発に注力しています。

そのうえで、学習の継続を促す仕掛けとして、添削指導とweb学習支援サービスをご提供しています。「添削指導」は目新しいサービスではありませんが、学習の進み具合や知識の定着度合いを定期的にチェックでき、短期的な学習目標に据えられるのでモチベーション維持や学習のペースメークにとても有効です。また、動画講義やwebテスト、質問回答機能等をベースに、受講生さんに“いつでもどこでも寄り添えるサポート”を提供しているのが「web学習支援サービス」です。
学習を進めていくうえでの障害の一つは、「つまずいたところで学習が止まってしまう」こと。当社には長年の豊富な指導経験がありますから、初学者を含めて多くの受講生がわからなくなったり、脱落してしまうポイントをしっかり分析して押さえています。だからこそ、そうしたポイントを動画講義やwebテストで手厚くフォローできますし、質問回答にも丁寧・的確に対応することができます。

学習方法の多様化が進むなか、時代や受講者像を
見すえたユーザー指向の学習のかたちを提供

昨今はデジタルを活用した新しい学習方法も台頭していますが、デジタル化の自宅学習対応についてどのように捉えていますか?

デジタルへのシフトは最重要の課題と考えており、その施策には力を入れています。これによってコンテンツの提供や、指導・管理がより効果的・効率的になったり、確かにいろいろなメリットがあります。

進捗や課題などがスマートフォンで確認できる
「学習スケジュール管理・自動作成機能」 拡大してみる

当社でも、一部の講座では学習スケジュール管理・自動作成機能やデジタルテキスト機能など、より利便性を高めたサービスも実装がはじまっています。自宅学習を進めていくうえでは、先ほど挙げた障害に加えてもう一つ、「日々の学習量やスケジュール感がわからない」といった声がよく聞かれます。これを解消するのが、「学習スケジュール管理・自動作成機能」です。この機能を使えば、「今週はここまでやればいい!」といった目安が明確になりますので、格段に学習が進めやすくなります。さらに、学習が思うように進まない場合は、自動でスケジュールを調整して仕切り直せる(=やり直しがきく)点も、モチベーションを維持するのにとても効果的です。
また、デジタルテキスト機能は、スマホやパソコンさえあればテキストが読めますので、時間や場所を問わない学習の利便性や思い立ったときにすぐに学習できる機動力を向上させます。このように、お一人おひとりの状況に応じて活用いただけるサポート機能を充実させています。

ただ、一方で当社では非常に多くの講座をご用意しているため、講座内容や受講される方も多岐にわたります。そこでは、デジタルへのシフトが、必ずしもお客様の満足や望まれる学習のかたちに直結しないと考えられる場合もあります。そのため、現段階では、一律にデジタルへのシフトを進めることはせずに、講座の特徴や内容、メインとなる受講生の世代等によって、そのシフトの程度を調整していこうというスタンスです。それと同時にユーキャンでは、紙やDVD等の現物教材ならではのメリットも重要視しています。現物教材は、学習のかたちとして多くの世代が最も慣れ親しんでいるとも言えますから、現物教材だからこその特長や安心感、使い勝手の良さを活かしつつ、デジタルのコンテンツやサービスとの効果的な共存・シナジー効果の創出を目指しています。

学びのスタイルは、今後よりいっそう多様になると思いますし、よりデジタルに慣れ親しみ、それが当たり前の時代も現実になりつつあります。当社としては、デジタルシフトの未来のかたちは常に模索しつつ、時代や受講生像に応じた最適な学習のかたちを提供していきたいと考えています。

時代の変化に対応するため、新たなスキルや
知識・能力が必要になれば、
主体的に学び補っていかなくてはなりません。

新しい働き方や暮らし方が取りざたされるなか、「生涯学習」をテーマとする
御社にとって、今後、「学び」に対するユーザーやマーケットの意識や価値観
はどのように変わっていくと思いますか?

今後も、学びに対する意識はますます高まり、重要性が増していくと考えています。今回のコロナ禍は象徴的ではありますが、何かをきっかけに大きなパラダイムシフトが発生すると、その変化に直接/間接的に対応した“学び”への意識やニーズが高まると考えられるからです。

例えば、コロナ禍によって提唱された「新しい働き方」は、これまで当たり前だった働き方に、単純にテレワーク等が加わるというだけでなく、仕事の進め方、仕事の内容そのものの意義や役割といった、根本的な部分の変化も内包しています。こうした変化に対応して、新たなスキルや知識・能力が必要になれば、主体的に学び補っていかなくてはなりません。また、「新しい生活様式」では在宅の意識も高まりますから、自分の時間の質を高めて充実させる手段、より自分らしく楽しく過ごすための手段として、学びは不可欠なものになっていくでしょう。
先行きの見えない時代だからこそ、新たに学ぶことが拠りどころの一つになりますし、学びは日々や先々の暮らしを充実させるエネルギーにもなってくれると思います。

私自身、コロナ禍で改めて“新たな学び”のニーズや重要性を再認識できましたし、この先のwith/afterコロナの時代にあっても、充実した暮らしや生き方を創っていくため、さらに質の高い、受講生に満足いただける講座を責任をもって生み出していくことが当社の役割と考えております。

在宅勤務や外出制限などで増えた「自宅時間」の有効活用の選択肢のひとつとして、 “実用的な学び”へのニーズが増えたこと、そして、これからの「新しい働き方」や「新しい生活様式」に対応していくうえでの“学び”の重要性についてお聞きできました。
貴重なお話しをありがとうございました。

(インタビュー:2020年11月)

ゲスト紹介
株式会社ユーキャン メディアマーケティング部 山本 裕美さん
早稲田大学(第一文学部)卒業。1999年に株式会社ユーキャン(2006年に法人名を、株式会社日本通信教育連盟から、株式会社ユーキャンに変更)入社。年間受講生数No.1の「実用ボールペン字講座」を筆頭とするペン字・書道系講座の営業・開発部署から、新聞/チラシ/総合カタログ/雑誌などの“紙メディア営業”を統括するメディアマーケティング部、通信事業部顧客全般の分析・マーケティング・営業活動を行うカスタマーマーケティング部、案内資料などの“DM営業”を統括するDMマーケティング部を経て、2018年に再びメディアマーケティング部に異動。2020年1月から現職。
株式会社ユーキャン
ホームページ:https://www.u-can.co.jp/
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