新しい資格、新しいスキル、新しいキャリア。 株式会社 オデッセイコミュニケーションズ

新しい資格、新しいスキル、新しいキャリア。 株式会社 オデッセイコミュニケーションズ

Topics リレーエッセイ

No.155

あなたにとって、
「仕事・働くこと」とは?
リレーエッセイ

ビジネスも果樹を育てるイメージで

株式会社ウィット 
執行役員
天辰 次郎さん

思い返してみると、20代の頃は生き急いでいたなぁ…と思います。

19歳の時に大学の友人と起業したものの、改めて自分が何もできないことを痛感し、ITベンチャー企業で2000年3月からインターンをはじめました。多忙期は毎日会社に泊まり込み、月400時間以上働くことも。当時は“ブラック企業”という言葉もなく、毎日がイベント続きのようで案外楽しく働けたので、そのままインターン先の会社に就職しました。その後、2004年に外資系メーカーに転職。その1年後にはマーケティングコンサルティング会社に、さらに2年後には健康管理アプリ&Webサービス『あすけん』立ち上げのために株式会社グリーンハウス(※1)に転職と、計4社を渡り歩いた時点でまだ27歳。あの頃は、「もっと早く成長したい、早く成果を出したい」と焦っていました。

現在では会員数150万人を超える『あすけん』ですが、新規事業立ち上げのために私が入社した2007年当時、専属の担当者は自分だけ。一人でコツコツと業界情報を調べたり、画面イメージを作ったりしていました。その頃はまだ、「食事改善」を目的としたネットサービスはほとんどなく、機能や画面構成のお手本になるものも皆無に等しかった。それでも何とか形になったのは、グリーンハウスが培ってきた人材やノウハウのおかげでした。その頃、管理栄養士・栄養士が1,000名余り在籍し、すでに数十年の栄養指導経験を持っていました。また、1990年代にはマークシート形式で食事アンケートに回答するとアドバイスが自動表示されるシステムをリリースするなど、時代を先取りした取り組みも行っていました。そのノウハウを、改めて体系立ててネット化するべく、グリーンハウス100%出資の子会社ウィットが2007年に立ち上げられ、世界でも類を見なかった「食事を記録すると、自動的に管理栄養士のアドバイスが得られるネットサービス」を誕生させることができました。

誕生までは順調でしたが、その後は事業面で苦戦を強いられました。目標売上には遠く及ばず、耐える日々が何年も続きました。それでも、『あすけん』をネイティブアプリ化(※2)した2014年から急激な成長軌道に乗せることが叶いました。耐えてきた期間もサービスを磨き続けたこと、ずっと使い続けてくださったユーザーがコア層になって育っていたことが成長の要因だと考えています。ただ、この時点でサービスインから7年の歳月が経過。もし、『あすけん』がITベンチャー内の新事業だったら、もっと早くに見切りをつけられていたと思うので、長いスパンで事業を見る社風に救われました。ヘルスケアITは、ゲームや映画のようにヒット作を次々に生まなければいけない事業と違い、お客様に長く使い続けてもらう蓄積型のサービスにすることができます。実際に、数年前に行った『あすけん』のPC版での改良が、今のアプリでも価値を生み続けていますし、今日行っている改良も数年後にさらなる価値を生み続けてくれると思っています。

こうした経緯と蓄積型という事業の特性から、いつしか私は、「アプリも事業も組織も、時間をかけて成長させること」に喜びを感じるようになりました。例えると、収穫できるまでには長い時間がかかるけれど、一度育てば毎年実を結ぶ果樹を育てていくようなイメージです。IT業界はハンターかギャンブラーのような人が多いと感じていますが、私の仕事観は農民的なのだろうと思います。これからもじっくり事業や組織を育てていきたいと考えています。 

※1 株式会社グリーンハウス・・・2017年に創業70周年を迎えた大手コントラクトフードサービス会社。主に、官公庁・オフィス等の社員食堂の運営を受託。

※2 ネイティブアプリ・・・パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末において、その機種のOS(オペレーテングシステム)の機能に直接アクセスし、実行可能なプログラムを使用して作成されたアプリケーション。(出典:日本大百科全書)。

Q&A

仕事にまつわる
10問アンケート

現在の仕事に対する満足度は?
満足していますが、もっと良くしていきたいことはたくさんあります。
一生困らないほどのお金が手に入ったら、仕事以外にやりたいことは?
数カ月とか時間をかけて冬山に登りたいですね。
仕事で、“鳥肌が立つほど感動した”ことがありますか? それはどんなときですか?
『あすけん』が急成長をはじめたときです。ついに実った・・・と。
仕事より大切なものは?
いろいろ大切なものはあります。仕事と比較できないですね。
子供の頃になりたかった職業は?
物理学者と小説家です。
あなたの子供に、仕事のためにどのようなことを身につけさせたいですか?
(※ 子供をお持ちでない方は、いると仮定してお答え願います)
現実を直視すること。そのなかで、できることをすること。
あなたの仕事にとって、パソコンはどんな役割を果たしていますか?
パソコンがあたり前になりすぎて、水や空気のような位置づけになっています。
パソコンを操作しているということを、意識することさえほとんどないです。
仕事で成功するために、もっとも大切なものは?
強みを見つけて活かすことだと思います。
今、1時間だけ自由な時間があったら、何をしたいですか?
1時間ほどの自由な時間は普段からあります(笑)。
なので、いつも通りボーっとしたり本を読んだりしますね。
最近読んだ本で、仕事に役立ったのは?

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』[河合雅司 著 / 講談社]

読んでゾッとした本です。日本だけを見て事業を育てても未来はないということを痛感しました。
残念ながら海外事業から手を引いてしまったIT企業も多いですが、「お互い歯を食いしばって、頑張り抜きましょうよ」と言いたいです。(『あすけん』は、北米展開済みで、頑張っています!)

就活中の学生へ向けて

(御社が)新入社員に求める最大の「即戦力」とは?
新入社員に即戦力は求めません。
斜に構えず現実を直視して、何ができるか考えながら仕事をしていれば育っていくと思います。
今、学生に戻れるならどんな経験をしておきたいですか?
かつての自分の学生時代と同じように、激しいインターンに申し込みます。
今のご時世に、毎日泊まり込んで月400時間以上働く会社はないと思いますが、上記答えは、「当時の状況に戻るなら」という意味で。
「仕事を楽しむ秘訣」があれば、教えてください
自分の強みを見出して、それを活かせる場所と方法を見つけることでしょうね。
組織のなかで働くのであれば、そのことを上司に理解してもらうことも必要になります。ただ、新入社員のうちは顕在化していない強みもたくさんあるはずなので、まずは、先入観を持たずにいろいろな業務をやってみてほしいです。
第一志望の企業に不採用になった学生に、ひと言 声をかけるとしたら?
「気にしないでよいですよ」
子供の頃から入りたかったという第一志望の企業に落ちて、「これまでの自分の人生を否定された気分だ」と、ものすごく傷ついた知人がいました。ですが、ほかの会社に就職が決まり、いまでは幸せに働いていますよ。
パソコンを使えない学生についてどう思いますか?
このWebページを見ている時点で「パソコンが使えない」学生ではないとは思いますが、Webで情報を調べられない、パソコンで履歴書を作成できない、というレベルだと、さすがに不利になると思います。

株式会社ウィット 
執行役員
あすけん事業部マーケティング統括 兼 Asken Inc. COO
天辰 次郎(あまたつ・じろう)さん

Profile

1979年、東京都生まれ。大学卒業後の2000年にITベンチャー企業に入社し、新型のリサーチ手法・システム開発に従事。その後、数社の転職を経て、2007年に株式会社グリーンハウスに入社。同年10月に立ち上げられた株式会社ウィット(グリーンハウス100%出資子会社)の執行役員として、『あすけん』事業のマーケティング・アライアンス・海外事業などを担当。また、同社の海外子会社 Asken Inc.(米・カリフォルニア州)のCOOも兼任。北米にてサービスを展開中。

【2017年10月インタビュー】

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