新しい資格、新しいスキル、新しいキャリア。 株式会社 オデッセイコミュニケーションズ

新しい資格、新しいスキル、新しいキャリア。 株式会社 オデッセイコミュニケーションズ

Topics インタビュー

2020.09.29

新しいものを取り込まないと衰退する

~パソコンスクールの動画活用を聞く

毎日、各講師が日替わりで公開している講座のライブ配信(無料)から、まだ誰も取り組んでいないYouTubeでの『Excel関数、500個全部紹介』コンテンツまで、2019年より、動画を活用した情報発信に力を注いでいるパソコンスクールの『ソフトキャンパス』(以下、スクール)。
創業から26年あまり、完全1対1のマンツーマンレッスンで、一人ひとりのスキルアップを応援してきたスクールの代表・木村加奈さんに動画活用の経緯と戦略について伺いました。

ゲスト
株式会社ソフトキャンパス

代表取締役社長 木村 加奈さん

インタビュアー
株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ 小川 治人

はじまりは、Vチューバー「みどりちゃん」

HPを見ると、「動画」を積極的に活用されているようですが、
動画をはじめた理由や背景から教えていただけますか。

動画は、2019年の夏ごろからVチューバー ※の『みどりちゃん』というキャラクターからはじめました。はじめた理由は、私の些細な想いが発端となっています。

当社は、全スタッフ60人ほどの小さな会社ですが、役員にはハイレベルなプロフェッショナルが多く、新宿校を立ち上げた2015年に入社したウェブ担当は、私たちがいくらSEO対策をしても検索7位だった当スクールを、約束の3週間はおろか2週間で1位にした優秀な人材ですし、学習教材や予約管理システムなどのバックヤードのシステムをすべて一人で開発しているプログラマーは、アメリカの大手IT企業数社と顧問契約している逸材です。

そんな彼らと役員会議に同席すると、みんなはプロとしての知識と見解で発言しますが、社長の私はプロフェッショナルじゃないんですね。エンジニアではなく経営者なので。そのときに、「私も何かしたい!」という気持ちがふつふつと沸きあがり、私にも何かやれることはないかと考えたのがVチューバーの『みどりちゃん』だったんです。そんな、すっごいくだらない理由が動画のはじまりです(笑)。

原稿は理系男子の阿部茂、原稿チェック&ナレーションはマネージャーの佐藤真美、動きの操作は栗林未沙、そして私は撮影と動画編集を主に担当しています。キャラクターの動きというのは、ゲームをやるような感じで操作するんですが、ヘタな人がやるとぎこちない動きになっちゃうんですよ。操作担当の栗林は、社内一の運動音痴と言われていますが、今回、かわいい女子高生の動きを瞬間でやってのけるというものすごい才能を発揮して、みんな度肝を抜かれました。

そして、どのような動画を作るかを検討するなかで、「まだ、誰も成し遂げていないことをやろう」という指針が決まり、『Excelの関数、全部紹介』という動画をはじめました。というのも、日本で山のように出ているExcel関数本は、「よく使うショートカット」という切りとり方で紹介されるケースが多いので、関数の大半が割愛されています。でも、Excelの関数はグローバルなので、日本人には馴染みのない、例えば「フランスの会計の関数」みたいなものも多数あって、それらを含めると500個ほどの数になります。それらをすべて紹介する動画は誰もやっていなかったので、いまも、その動画づくりをひたすらやっています。あと残り140個ぐらいまで来ています。

※Vチューバー:バーチャル ユーチューバー(virtual YouTuber)

SEOにはたくさんの子どもが必要
動画は、そのための種まきのひとつ

HPへの集客効果や新規の顧客開拓など、
動画にどのような役割や成果を期待してはじめたのですか?

正直、動画はSEOほど直接的な集客にはならないと思っています。SEOには子供がたくさん必要で、HPを柱だとすると、その下にはたくさんの子供が必要なんです。その子供のなかに、動画コンテンツは外せません。例えば、『新宿 パソコンスクール』というキーワードで検索して来るユーザーは、ダイレクト検索なので当校のお客さんになる可能性は高い。ただ、ソフトキャンパスのHPに来るユーザーは、ダイレクトな入口だけから来るとは限らなくて、「IF関数がうまくいかない」とか、「IF関数がうまく組めない」というキーワードで当社のページにたどり着くケースもあります。ということから、そのような関連したキーワードから、どれぐらいユーザーをHPに呼び込んでくるかということもSEOを上げていくなかではすごく必要なんです。

Vチューブをはじめた当初は、「SEOのための動画をつくろう」という発想でした。ただ、私もせっかく挑戦して作っているのに、「SEOのためだけ」ということではモチベーションが続かないし、あわよくば「バズりたい!」とは思っているので(笑)、その可能性もあるものとして、500個の関数リレーという企画をSEO目的としただけでなくコンテンツとして作っています。

あと、当スクールは直接足を運んでもらうビジネスなので、動画を活用する業態としては難易度が高いんですね。これが通信講座なら別なのかもしれませんが、動画から新しいお客さんを呼び込むというのは、まだまだ難しいです。今後、YouTube番組『スクールチャンネル』の各講師や各コンテンツが本当に充実していって、それを使って勉強をする人たちが増えて、そこから「もっと総合的に学習したい」「この動画の先生から、直接学びたい」となっていけば可能なのかもしれませんが・・・。YouTubeやインスタから検索して、「動画を見たので、スクールに入校したい」という人が出てくるのは、もう少し時間がかかると思っています。

動画が寄与して、既存顧客との関係強化やリピート増に貢献するといったこと はありますか?

『スクールチャンネル』のほうは、最近はコンテンツが増えたこともあって、チャンネル登録者数は1カ月に50人ぐらいコンスタントに増えています。視聴者には、“若い人が多い”といった限定性はなく、スクールの受講生と近い印象なので、店舗にリアルに来ている生徒さんのためのサービスにはなっているのかな?とは感じています。

ただ、私はこのような動画系が、“過去の受講生のリピート”には貢献しないと思っています。企業側にとっては、「対面学習でスキルアップした生徒さんが、受講後も弊社とつながってほしい」「何かあったときに来てくれるユーザーさんを温めておきたい」と思うのは理解できますし、それができればベストなんでしょうが、受講生側からすると、スクールは目的を達成したら終わりなんですよ、残念ながら。動画がリピート増に寄与するというのは、企業側の淡い期待であって、リアリティーはないと思います。リピートということで言うなら、「良い授業をしてもらったな」という思い出を残せるほうが重要で、その思い出があれば、こうしたコンテンツとかコミュニティーはいりませんから。

何か課題がないと前を向けない
組織運営における動画の効果

動画やライブ配信をはじめたことで、社内はどのような反応でしたか?
また、動画の取り組みを続けられている秘訣はありますか?

動画は私発信でしたが、そもそも当社は、「何かやろう!」となったときの統制が、どこの企業よりもとれていると私は思っていて、「やる!」ってなったら、やる組織なんです(笑)。秘訣みたいものは特にないです。

ただ、今回のコロナのことを考えると、「動画にトライして良かった・・・」と改めて感じています。いまも、コロナへの不安は消えていませんが、特に4月7日に出た『緊急事態宣言』の期間中は、お客さんも来ないし、生徒さんも「行ったほうが良いのか、行かないほうが良いのか」がわからない状態で、スタッフも受講生も不安な気持ちに包まれていました。不安って、終わりが見えないと募ってきますから、あの頃は、どこの会社も気分が沈んで暗くなっていたと思います。そうしたなか、当社は宣言後すぐに、「動画でライブ配信しよう!」ということを決めました。というのも、生徒さんが来校できないと、スタッフとの関わりが一気に減ってしまうので、そうした不安を和らげるためも、受講生と講師とのコミュニケーションが少しでもとれるようにとライブ配信をはじめたんです。

受講生との交流以外にも、不安に駆られて欝々となっていく店舗やスタッフのためにも「何か新しいことをやっている」ということが会社のなかに必要だと考えました。それが動画でした。人って、何か課題がないと前を向けなくなるんですよね。なので、曜日ごとに担当を決め、全員で新しいことにチャレンジしようと働きかけたんです。

Photoshopが使える人が動画のサムネイルを社内のチャットに載せると、そのサムネに別の人がアイデアをかぶせる、するとほかの人が別案をだす・・・と、まるで大喜利のような感じでサムネ合戦になっていきました。

そんなふうに、動画づくりを通じて楽しさが共有されて、「誰が一番良いVチューブを配信するか、ユニークなサムネを創るか」のほうに意識が向いていったので、弊社は、「コロナどころじゃない!」みたいな感じで(笑)、すごく明るかったです。YouTubeLiveをやったことによる売上への影響や費用対効果がわかる明確な数字は、いまはまだありませんが、メンタル面へのプラスはすごく大きかったと思っています。

動画で学べる?

動画は、ライブ配信も双方向のやりとりもアーカイブもいろいろと充実してきていて、学びのためのサービスやツールも増えています。動画は今後、マンツーマン講座にとって代わっていくと思いますか?

昨年末から、動画でいろいろなことをやってきた結論からすると、私は「ならない」と思っています。いまはもう、どこのパソコンスクールも授業を再開していますが、ことに弊社のようなマンツーマンスタイルの授業は濃厚接触になりやすいので、弊社はコロナ対策として、フェイスシールドをする、パーテーションを置く、こまめに除菌する等々、「ここまでやるの!?」というくらい徹底してやっています。そうすると、そこにはどうしても“伝わるとか/教える”ということへの弊害があって、例えば、いままでパソコンのモニターを指させば済んだことが、パーテーション越しだと、すべて言葉で表現しなくてはいけなくなる。これまで1秒で解決できたことが10秒以上かかっていくわけですから、このまどろっこしさがマンツーマン授業の課題です。

これを、動画で見て“わかろう/わからせよう”とすると、もっとまどろっこしいんです。理解して覚えていくためには順番に見ていく必要がありますし、自分の聞きたいことが動画のどこで話しているのかはわからないので、探さなくてはいけない。だから、動画とマンツーマンの授業というのは、まったく別物になるような気がしています。

また、長い時間、動画を見続けることって、思った以上に忍耐力が必要なんです。30分とか1時間、ひとつの動画を見続ける集中力を維持させるのってやっぱり大変ですから。私たちも、勝手がわからない最初の頃は1時間超えのライブを配信していましたが、それをアーカイブに残しても誰も見ないので、いまは、「動画の尺は、最大でも20分!」ということをスローガンとして言い続けています。なので、再生数を稼ごうと思ったら、編集して10分以下の動画にしないと厳しいでしょうし、そこが、動画で学ぶことの限界だと思っています。

2年間は投資
ノウハウや手の内は見せてしまっているが、ちっちゃなマイナスは気にしない

今後、御社では動画の活用をどのように取り組んでいくのでしょうか?

弊社は、『緊急事態宣言』直後から、すぐにライブ配信に取り組んだこともあって、いま配信している動画のクオリティは結構高くなってきています。“講義”という自分たちの商品を無料で配信しているので、考え方によっては、同業者や競合にノウハウや手の内を見せてしまっているとも言えますが、そういう小さいことにこだわるとやれないことが増えてしまうので、いまはそういったちっちゃなマイナスは気にしていないんです。

Vチューブをはじめたときもそうでしたが、私は、確固たるゴールを気にして踏みだすことをためらうより、社会や時代が要請する新しいことをやっていくほうが大切だと思っていて、それは、新しいことを取り入れていかないとスクールも人も衰退していくと考えているからです。

経営者の私には、会社のなかに“新しい風”をどれだけ入れていけるかが求められていると思っていて、そのひとつがスクールの授業の新しいコンテンツを増やすことだと考えています。そのコンテンツを売っていくには、その運用をいかに自分たちで成功させているのかが重要です。弊社のような小さな会社に、多くの方々がプログラマーやエンジニアとしてのスキルを学びに来る理由は、テキスト通りに教えるのではなく、話をしたときの説得力がぜんぜん違うと思ってもらえる運営の実績という裏づけがあるからだと思っています。今回、動画に挑戦したのも、3年から5年先の将来的に会社のなかの事業に動画を取り入れていくことを考えたからなんです。

私は、最初にコロナの脅威が表面化した2020年の2月頃から、“この問題は、最短でも2年間は続く”と覚悟しました。来店促進にも無理がある。動画配信で儲けるのも無理がある。いますぐ何かをやって、儲けられることなんて何一つない。ただ、2年が経てば、どのようなカタチであれ何かしら復活するだろうと。では、店舗をもつ来客型ビジネスをやっている当社が、スタッフ全員の意識を合わせてこの2年間で何をやるのか、それを考えた結果、『コンテンツを作って、いままでやりたくてもできなかったお客さんに対するサービス提供を全力でやる2年間にしよう。そうすれば、この2年間が全部投資になって、2年後に何かしら帰ってくるはずだ』という話を、覚悟を決めた2週間後に全社員にオンライン会議で伝えました。

なので、いまHPをゼロから作り直しているということも、そこに動画を合わせているということも、ライブ配信をしているということもすべてお客さんへのサービスで、私にとっては2年後に対する投資だと思ってやっています。

動画をはじめとする新しいことに取り組むこと、具体的に方向性を示す代表取締役の想い、次代に生き残るビジネスを続けていく姿勢をお聞きできました。
本日はお忙しいなか、貴重なお話しをありがとうございました。

(インタビュー:2020年9月8日)

代表取締役社長の木村 加奈さん
パソコンスクール紹介
1995年に設立された『ソフトキャンパス』は、青森県に本社を置くパソコンと資格のパソコンスクール。新宿・横浜・仙台・青森・弘前の5つの拠点(2020年9月現在)で、パソコン関連の資格(MOS/CAD/Web/プログラミング等)をはじめ、簿記/医療事務/キャリアコンサルタント/キャリアコンサルティング技能士などの試験対策まで、すべての講座を完全1対1のマンツーマン専門コースで展開している。
オンラインレッスンやオンライン社員研修も実施しており、個人の資格取得から就職/転職支援から、企業向けのIT教育/新人研修まで幅広く対応している。
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